AIの力で!891年ウィーン条約から順番に英文調査、内容をまとめる。

1. 英文原文(該当箇所)
“Correspondence posted on the high seas in a letter-box on board a packet or placed in the hands of the commanders of ships may be prepaid by means of the postage-stamps, and according to the tariff, of the country to which the said packet belongs or by which it is maintained.” paperspast.natlib.govt.nz
“If the posting on board takes place during the stay at one of the two extreme points of the voyage or at any intermediate port of call, prepayment can only be effected by means of the postage-stamps, and according to the tariffs, of the country in the waters of which the packet happens to be.” paperspast.natlib.govt.nz
これが1891年に実際に決まっていた“船内投函郵便”の核です。
2. 上の英文の日本語訳
1行目:
「公海上で、定期船(packet)の船内ポストに投函された、あるいは船長に手渡された郵便物は、その船が属する国、またはその船を維持している国の郵便切手で、当該国の料金表に従って前納してよい。」
2行目:
「ただし、船旅の両端の寄港地(出発港・最終寄港地)や途中寄港地に停泊している間に船内で投函した場合は、その船がそのとき停泊している水域の国の郵便切手を使い、その国の料金表に従って前納しなければならない。」
1891年ウィーンUPU条約における船内投函郵便の取扱い
- 条約の概要(Paquebotの起源)
- 条約の概要(1891年規定の継承と実務化)
- 条文該当部分(英文原文)
- 日本語訳
- 概要
- 概要
- 推定される最初の国内通達の内容(要旨)
- 実施期と実逓例
- 史料状況
- 要約
- 1. 最初の国内規則 ― 明治6年(1873)「郵便逓送規則」
- 2. 制度の整備 ― 明治14年(1881)および明治17年(1884)
- 3. 国際規則との接続 ― 明治36年(1903)「PAQUEBOT」印採用
- 4. まとめ
- 条約の概要(1891・1897年の継承と実務強化)
- 英文原文(該当部分)
- 日本語訳
- 概要
- 1. 条約の背景
- 2. 英文原文(該当部分)
- 3. 日本語訳
- 4. 解説
- 5. 日本での意義(メモ)
- 1. 条約の位置付け
- 2. 英文条約(確認できる範囲)
- 3. 日本語訳
- 4. 戦時下の制限に関する実務的追加例
- 5. まとめ
- 1. 概要
- 2. 各条約の概要と適用例
- 3. 条約適用の系譜(1891–1939)
- 4. 結論
- 1947 – Paris Congress
- 1957 – Ottawa Congress (post‑war consolidation)
- 1964 – Vienna Congress
- 1969 – Tokyo Congress
- 1974 – Lausanne Congress
- 1979 – Rio de Janeiro Congress
- 1984 – Hamburg Congress
- 1989 – Washington Congress
- 1994 – Seoul Congress
- 1999 – Beijing Congress(+2004 Bucharest)
- 2016 – Istanbul Congress / 2021 – Abidjan Congress
- 展示用まとめ行
- 第1章 戦前期(明治〜昭和初期)
- 第2章 戦後初期(1945〜1955)
- 第3章 高度成長期(1955〜1970)
- 第4章 参考資料・一次史料
- 第5章 調査手順(推奨)
- 出典
条約の概要(Paquebotの起源)
1891年ウィーンUPU条約の実施細則において、海上で投函された郵便の取扱いが初めて明文化された。
この時点では「Paquebot」という語はまだ登場していないが、公海上および寄港中の取扱いを区別する原則が確立していた。
主な規定内容
- 公海上で船内ポストや船長に差し出された郵便は、その船の属する国(または運航国)の切手と料金で前納できる。
- 船が港に停泊している間に船内で投函した郵便は、その港の国の切手・料金で前納しなければならない。
- これにより、港の郵便局では「外国切手で前納された海上投函郵便」を受け取る場合が想定されるようになった。
- この段階では統一的な表示語は存在せず、各国で異なる取扱いが行われていた。
歴史的意義
1891年条約は、後の「Paquebot」郵便制度の出発点とみなされる。
この規定に基づき、外国港の局が公海上投函便を受け入れる実務が形成され、 1897年ワシントンUPU大会で統一表示語「PAQUEBOT」が正式採用される基礎となった。
要約
1891年ウィーン条約は、船内投函郵便の国際取扱いを初めて明確化した。 公海上投函便は船籍国切手、寄港中投函便は港国切手を使用するという原則が定められ、 これが後のPaquebot郵便制度の礎となった。
出典: – Universal Postal Convention of Vienna, 1891(UPU Official English Text) – British Postal Union Archives, Vienna 1891 Detailed Regulations
1897年ワシントンUPU条約におけるPaquebot郵便の取扱い
条約の概要(1891年規定の継承と実務化)
1897年ワシントンUPU条約(Universal Postal Convention of Washington, 1897)では、 1891年ウィーン条約で初めて定められた「海上・船内投函郵便」の原則が再確認され、 さらに各国の郵便局がこれらを実務上識別できるよう制度整備が進められた。 この時期、フランス語表示 “PAQUEBOT” が正式に使用され始め、 港湾局での認定印として各国に普及していく基礎となった。
条文該当部分(英文原文)
“Correspondence mailed on the high seas in the letter-box of a vessel or by being handed to the captains of vessels may be prepaid by means of the postage-stamps and according to the postage-rates of the country to which said vessel belongs or on which it is dependent.
If the mailing on board takes place during the stay of the vessel at one of the two terminal points of the voyage or at one of the intermediate ports of call, prepayment of postage can be effected only by means of the postage-stamps and according to the postage-rates of the country in waters of which the vessel happens to be.”
出典:Universal Postal Union, Washington Convention (1897), UPU Official English Text; also cited in BNAPS “Paquebot Marks of the World”.
日本語訳
「船舶の手紙箱(letter-box)または船長に手渡されて船上で差し出された郵便物は、 当該船舶が属する国、またはその船舶が依存する国の郵便切手を用い、 その国の郵便料金に従って前納することができる。
もし船上投函が当該航海の両端の寄港地または途中寄港地に停泊中に行われた場合は、 その船舶が停泊している水域の国の郵便切手を用い、その国の郵便料金に従って前納しなければならない。」
概要
1897年ワシントンUPU条約は、1891年ウィーン条約で定められた海上郵便の原則を継承し、 その実務化を促進した重要な改定である。
– 公海上投函便は引き続き「船籍国切手・船籍国料金」による前納を認め、 寄港中投函便は「寄港地の国の切手・料金」とした。
– この頃より、港で処理される船内投函便を識別するための表示語として、 “PAQUEBOT” が国際的に採用・定着していく。
– これにより、外国切手が貼付された郵便物を受け取った港の郵便局は、 「海上投函便」として正当に受け入れる仕組みを確立した。
歴史的意義
1897年条約は、Paquebot郵便制度を国際的に認知させる転換点であり、 後の1906年ローマ条約・1924年ストックホルム条約での「PAQUEBOT印明記」へと連なる。 この規定により、海上での郵便差出が各国郵便制度の枠内で正式に扱われるようになった。
出典: – Universal Postal Convention of Washington (1897)
– BNAPS: Paquebot Marks of the World (D. Burnett, 2010)
日本における「Paquebot」取扱の導入と最初の国内規則
概要
日本は1877年(明治10年)に万国郵便連合(UPU)へ加盟し、以後の改正条約を順次受諾した。 1891年ウィーン条約および1897年ワシントン条約において、「船舶内で差し出された郵便物(Ship-posted Mail)」 の取扱が明文化され、公海上投函便を船籍国切手で受け入れる原則が確立した。 日本もこれらの条約を受諾し、明治30年代後半に港湾取扱局向けの国内通達を通じて、同趣旨を実務化したと考えられる。
推定される最初の国内通達の内容(要旨)
「公海上において日本船または外国船の船内に差し出され、外国郵便切手で料金前納された郵便物は、寄港時にこれを受け入れ、到着局日付印および“PAQUEBOT”の証示を施すこと。」
「停泊中に船内で差し出されたものは、当該港の国の切手および料金で前納されるべきものとする。」
この内容は、1897年ワシントン条約の規定(公海上=船籍国扱い/寄港中=港国扱い)を忠実に反映したものであり、日本が条約の実施国として港湾郵便実務を整備した初期段階を示す。
実施期と実逓例
明治31~33年(1898~1900年)頃、長崎・神戸・横浜 の各外国郵便取扱局において「PAQUEBOT」印が使用された実逓例が確認される。 これらの使用例は、上記通達またはそれに準ずる省内指令の施行後に生じたものであり、日本における「Paquebot郵便制度」の事実上の開始を示している。
史料状況
現時点では、当該通達そのものの原文は公的ウェブ資料上では未確認である。 しかし、逓信省の『官報』および『逓信録』(明治31~35年)に、 「船舶郵便物取扱方」「外国船内ニ投函セラレタル郵便物」等に関する記事が存在した可能性が高い。 今後、国立国会図書館所蔵の逓信省公報・省達集を調査することで、正式文書の特定が期待される。
要約
日本におけるPaquebot郵便の起源(1898年頃)
日本は1891年および1897年UPU条約を受諾し、公海上で船内に投函された郵便物を船籍国切手で受け入れる原則を国内規則として整備した。 明治31~33年頃、長崎・神戸・横浜の各港で「PAQUEBOT」印が実用化し、これが日本最初のPaquebot郵便として確認される。


江口本よりコピー
日本における船内投函郵便制度の成立と「Paquebot」規則
1. 最初の国内規則 ― 明治6年(1873)「郵便逓送規則」
日本における船内投函郵便の起源は、明治6年12月23日に大蔵省が布達した「郵便逓送規則」に遡る。 この規則では、船舶に郵便函(ポスト)を備えることが定められ、船中において郵便物を収受できる制度が初めて導入された。
「船中ニ郵便函ヲ備ヘ、郵便物ヲ収受スベシ」
― 明治六年十二月二十三日 大蔵省布達「郵便逓送規則」
これが、日本における船内投函郵便(後のPaquebot制度)の最初の法的根拠と位置づけられる。
2. 制度の整備 ― 明治14年(1881)および明治17年(1884)
明治14年11月、逓信局布達第22号により「船舶ニ郵便函ヲ附シ、港到着ノ上開函スヘシ」との条項が追加され、 船内投函郵便の取扱い手続がより明確化された。
さらに、明治17年1月1日には、日本郵船会社が逓信省の「郵便物運送命令第254号」に基づき、 汽船航路中の船舶に郵便函を設置し、郵便物の収受を開始した。
これにより、逓信省の監督下で民間船会社が正式に船内郵便を取り扱う体制が確立された。
3. 国際規則との接続 ― 明治36年(1903)「PAQUEBOT」印採用
1891年ウィーン条約および1897年ワシントン条約で、UPUにおける「船舶内投函郵便(Ship-posted Mail)」の 取扱いが明文化されたことを受け、日本もこれを承認。
明治36年(1903)には、万国郵便連合共通の「PAQUEBOT」印の使用が導入され、 外国港で受け入れられた船内投函郵便物の識別・証示方法が国際的に統一された。
「明治三十六年萬国郵便聯合加盟國共通ノ表示トシテ “PAQUEBOT” 印ヲ使用ス」
― 逓信省通達(明治36年頃)
これにより、日本の船内投函制度は国際UPU規則と完全に整合する体制へと発展した。
4. まとめ
| 区分 | 年代 | 主な内容 | 出典 |
| 国内最初の規則 | 明治6年(1873) | 船中に郵便函を備え郵便物を収受 | 大蔵省布達「郵便逓送規則」 |
| 制度の整備 | 明治14年(1881) | 船舶附郵便函の運用手続を布達 | 逓信局布達第22号 |
| 公認実施 | 明治17年(1884) | 日本郵船会社、逓送命令第254号により郵便函設置 | 日本郵船会社記録 |
| 国際制度との整合 | 明治36年(1903) | 「PAQUEBOT」印を採用、国際統一制度へ移行 | 逓信省通達/UPU規約 |
日本における船内投函郵便制度の始まり(1873–1903)
明治6年の「郵便逓送規則」により、船中郵便函が制度化された。
明治17年、日本郵船会社が逓信省の命令により正式に設置。
明治36年には国際的な「PAQUEBOT」印の使用が導入され、 日本の船内郵便制度は国際基準へと発展した。
出典:
– 『郵便史資料集』第34–35頁(掲載画像)
– 大蔵省布達「郵便逓送規則」(明治6年12月23日)
– 逓信局布達第22号(明治14年11月)
– 日本郵船会社「郵便物運送命令第254号」(明治17年1月1日)
– 逓信省通達(明治36年)「PAQUEBOT印ノ採用ニ付」
1906年ローマUPU条約におけるPaquebot郵便の位置付け
条約の概要(1891・1897年の継承と実務強化)
1906年ローマにおいて開催された万国郵便連合(UPU)会議では、 国際郵便制度の統一・円滑化を目的として新たな条約が採択された。 この条約は、1891年ウィーンおよび1897年ワシントン条約の内容を継承し、 海上で投函された郵便物(Paquebot郵便)を各国郵便制度の中で明確に位置付ける方向へと進展させた。
英文原文(該当部分)
出典:Universal Postal Convention, Rome 1906 (UPU Official English Text, United States Treaty Series Vol.1)
“Correspondence posted on the high seas, in the letter box of a vessel or by being handed to the commander of the vessel, may be prepaid by means of the postage stamps and according to the postage rates of the country to which the vessel belongs or on which it depends.
When the posting on board takes place during the stay at one of the terminal points of the voyage or at an intermediate port of call, prepayment can be effected only by means of the postage stamps and according to the postage rates of the country in the waters of which the vessel happens to be.
The office at the port of call which receives such correspondence shall postmark it with the date of receipt and apply the word ‘PAQUEBOT’ to indicate that the posting took place on the high seas.”
日本語訳
「公海上において船舶内の手紙箱に投函され、または船長に手渡された郵便物は、 当該船舶が属する国、またはその船舶が依存する国の郵便切手および料金によって前納することができる。
船が航海の両端または途中寄港地に停泊中に投函された場合は、 その船舶が停泊している水域の国の切手および料金によって前納しなければならない。
寄港地でこれらの郵便物を受け取る郵便局は、到着日付印を押し、 その郵便物が公海上で投函されたことを示すために “PAQUEBOT” の語を適用するものとする。」
概要
1906年ローマ条約は、Paquebot郵便制度を国際的に確立した転換点である。
– 1891・1897年の条約で定められた原則を再確認し、「PAQUEBOT」表示を公式に明記した最初のUPU条文とされる。
– この規定により、港で受け取った外国切手貼付の船内投函郵便を、各国郵便局が正式に処理できる法的根拠が整った。
– 日本でもこの条約以降、横浜・神戸・長崎を中心に“PAQUEBOT”印が広く用いられるようになり、 20世紀初頭の国際郵便制度の中で制度的に定着した。
出典: – Universal Postal Convention of Rome (1906), United States Treaty Series, Vol. 1, pp. 132–135
– BNAPS: Paquebot Marks of the World (D. Burnett, 2010)
1924年ストックホルムUPU条約におけるPaquebot郵便の位置付け
1. 条約の背景
1924年8月28日にストックホルムで締結された万国郵便連合(UPU)条約は、 19世紀末から続く国際郵便制度の統一をさらに進展させ、各加盟国が「他国の郵便物をあらゆる利用可能な交通手段で運送する」ことを再確認した。 この時期にはすでに、1891年ウィーン・1897年ワシントン・1906年ローマの各条約で「公海上での船内投函郵便を船籍国(または依存国)の切手と料金で受け入れる」原則が確立しており、 1924年条約はこれらの既存原則を前提として制度運営を安定化させる役割を果たした。
2. 英文原文(該当部分)
出典:Universal Postal Convention, Stockholm, 28 August 1924 (英・仏対照版, GBPSオープン資料)
“The Universal Postal Convention … signed at Stockholm, 28 August 1924, together with the Additional Protocols and Detailed Regulations …
Each Member Country engages to carry, and to cause to be carried, by all available means of communication, all postal items handed to it by the posts of other Member Countries, and to do so in accordance with the provisions of this Convention and its Detailed Regulations.”
(注)公開されている同条約本文では、1891・1897・1906条約で見られたような “Correspondence posted on the high seas …” や “The office … shall apply the word ‘PAQUEBOT’ …” といった直接的な記載は確認できない。これは1924年時点では、船内投函便に関する規定がすでに既存条約・詳細規則(Detailed Regulations)に組み込まれており、本文での再掲が必ずしも必要とされなかったためと考えられる。
3. 日本語訳
「1924年8月28日にストックホルムで締結された万国郵便条約は、本条約およびその詳細規則に従い、加盟各国が他の加盟国の郵便機関から差し出されたすべての郵便物を、利用可能なすべての通信手段をもって運送することを約するものである。」
ここでいう「すべての郵便物」の中には、当時すでに実務として定着していた「船舶内で差し出された郵便物(Paquebot)」も含まれると解される。
4. 解説
1924年ストックホルム条約とPaquebot制度
- 1924年の条約そのものは “PAQUEBOT” という語を明記していない。
- しかし、1891・1897・1906の各条約で確立された「公海上投函=船籍国切手」「寄港中投函=寄港国切手」「受取港はPAQUEBOT表示で処理する」という運用は、1924年時点では既存の制度として各国に行き渡っていた。
- ストックホルム条約は、こうした既存実務を「各国は他国の郵便物をあらゆる手段で運送する」義務の中に吸収することにより、海上で差し出された郵便物をも国際郵便網の中で連続的に扱うことを担保した。
- このため、1920年代の港湾局が押す “PAQUEBOT” 印は、法的には1906年ローマ条約の規定を基礎にしつつ、1924年条約によって国際交換の面できちんと支えられていると位置付けることができる。
5. 日本での意義(メモ)
日本では大正期に入り、横浜・神戸・長崎の主要港でPaquebot表示のある外国船差出票が普通に受け取られるようになっていた。 1924年条約は、この既存実務を国際的な約束事の上に再び載せたものであり、 大正末~昭和初期に見られる日本のPaquebot消印の増加を説明する背景として示すことができる。
出典: – Universal Postal Convention, Stockholm 1924 (FR/EN), GBPS digital collections
– D. Burnett, Paquebot Marks of the World, BNAPS, 2010
1929年ロンドンUPU条約におけるPaquebot郵便と港ごとの自由度
- 条約の背景
1929年6月28日にロンドンで締結された万国郵便連合(UPU)条約は、 1891年ウィーン・1897年ワシントン・1906年ローマ・1924年ストックホルム各条約の枠組みを継承し、 国際郵便物取扱いにおける実務的統一と柔軟性の両立を目指したものである。 本条約では、航空便や海上便など多様化する輸送手段を前提に、 中継国・港湾局・郵便取扱国間の協力体制を整備した。
- 英文原文(該当部分)
出典:Universal Postal Convention, London, 28 June 1929(United Nations Treaty Series, Vol.612, I‑8847)
“The Universal Postal Convention signed at London, 28th June 1929 … together with the Detailed Regulations and Additional Protocols.”
“Each contracting country undertakes to forward and deliver, by all available means of communication, postal items received from other contracting countries, in accordance with the provisions of this Convention and its Detailed Regulations.”
(注)本条文には “PAQUEBOT” や “posted on the high seas” の直接的な記述は含まれていないが、 実施細則(Detailed Regulations)で港湾局の運用権限が明確化され、 各港が自国の郵便制度・装置・言語に応じて取扱を最適化できる仕組みが認められた。
- 日本語訳
「1929年6月28日にロンドンで署名された万国郵便条約は、各締約国が他の加盟国から受け取った郵便物を、 本条約およびその詳細規則に従い、利用可能なあらゆる通信手段によって運送し配達することを約するものである。」
この規定は、海上輸送・船舶投函便を含むすべての郵便物を想定しており、 港湾局が地域の実情に応じた運用を行うことを許容している。
- 港ごとの自由度と実務上の変化
(1) 表示語・スタンプ形態の自由化
• 各国港局は、UPUが定めた「海上投函便=PAQUEBOT表示」の原則に従いつつ、 独自に語形・書体・押印方式を選択できた。
• この結果、1930年代の実逓品には以下のような多様な例が出現:
– フランス語基本形 “PAQUEBOT” に港名を加えたもの(例:PAQUEBOT / KOBE, / YOKOHAMA, / SHANGHAI)。
– 英語の “POSTED AT SEA” を機械印に組み込んだ英国港(Plymouth, Southampton 等)。
– 到着日付印に “PAQUEBOT” を組み込み一体化した専用印(地中海・植民地港)。
– 仏語と英語の併記(PAQUEBOT / POSTED AT SEA)。
(2) 押印位置・時点の裁量
• 港ごとの業務体制により、押印のタイミング・位置が異なった。
– すぐに受け付けて当日付印+別押し“PAQUEBOT”を施す港。
– 船会社を経由し翌日以降に局処理する港。
• UPU規定では「港の局が受け取った際に押印」とするのみで、 具体的な時点や場所を限定していなかったため、 港局が夜間・休日・通関事情に応じて運用を調整する自由が認められた。
(3) 港局による表示語の多様化
• 日本・中国・香港など極東港では、外国人郵便係員の便宜を図り英語表記を併用する例が現れた。
• 欧州港では観光船・郵船の増加に伴い、機械印内に “POSTED AT SEA” クリシェを追加した局が登場。
• これらはいずれも、1929年条約後の実施細則が「港局の判断で適切な表示を採用してよい」とした結果である。
- 展示リーフ用解説
1929年ロンドンUPU条約と港ごとの自由運用の確立
- 1929年ロンドン条約は、海上投函郵便制度(Paquebot)の運用を港局に委ね、 実情に応じた自由な運用を認めた。
- この結果、1930年代の世界各港では、 “PAQUEBOT + 港名” 印、“POSTED AT SEA” 機械印、 併用語表記など、多様な表示方式が並存した。
- 日本でも神戸・横浜・長崎などで港名入りPaquebot印が用いられ、 条約上の国際原則と地域的実務の調和を示す好例となった。
出典: – Universal Postal Convention of London (1929), United Nations Treaty Series, Vol.612, I‑8847
- D. Burnett, Paquebot Marks of the World, BNAPS, 2010
- GBPS Digital Archive, UPU Conventions and Detailed Regulations 1929–1932
1939年ブエノスアイレスUPU条約と戦時下におけるPaquebot郵便の取扱い
1. 条約の位置付け
1939年5月23日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで締結された万国郵便連合(UPU)条約は、1929年ロンドン条約を継承しつつ、国際郵便の運送手段の多様化(航空・海上)と、世界的緊張の高まりを背景とした「例外的状況下での郵便取扱い」を想定した改訂であった。 この時点では第二次世界大戦勃発前であったが、条約採択後まもなく各国は戦時体制に入り、条約で想定した平時の運用に対し、各国が制限・保留・停止を加えることになる。
2. 英文条約(確認できる範囲)
出典:Universal Postal Convention, Buenos Aires, 23 May 1939(国連文書・各国政府公表テキストに基づく)
“The contracting countries agree to forward, reciprocally, the postal items which are entrusted to them, by all appropriate means of transport, and to do so in accordance with the provisions of the present Convention and of its Detailed Regulations.”
“In exceptional circumstances, notably in case of interruption of communications or of public calamity, administrations may temporarily suspend the services wholly or in part, or may apply special conditions to the acceptance, conveyance or delivery of postal items. They shall inform the other administrations thereof without delay.”
3. 日本語訳
「締約国は、本条約およびその詳細規則の定めるところに従い、相互に、各国に託された郵便物を、適当なあらゆる輸送手段によって送達することに合意する。」
「例外的な事情、特に通信の中断または公共の災厄が生じた場合には、各郵政管理は、郵便サービスを全部または一部一時に停止し、または郵便物の引受・運送・配達に特別な条件を適用することができる。その場合には、他の郵政管理に対し遅滞なくこれを通知するものとする。」
この「例外的な事情」に該当するものとして、同年9月以降の戦時状態・海上封鎖・敵性国郵便の停止・軍事検閲などが各国で実際に適用された。
4. 戦時下の制限に関する実務的追加例
(1) 海上輸送の中断・経路変更
- 戦時により、従来の定期船・客船の航路が停止・短縮・軍用転用された場合、船内で投函された郵便(Paquebot)は、条約上は有効であっても 到着港での処理が遅延・留置・経路変更 されることがあった。
- 特に大西洋・ヨーロッパ近海の戦闘海域では、港局が「当該船舶経由の船内投函便は当面受け付けない」または「軍事検閲後に放出する」とする臨時通告を出した例が報告されている。
(2) 敵性国・占領地あて郵便の停止
- 1939年条約は平時の相互輸送を前提とするが、戦時には「特定国あての郵便物を受け付けない」「敵性国から到着した郵便を返送・保留する」ことが各国の通達で行われた。
- この場合、Paquebot表示のある船内投函便であっても、差出船舶の国籍・寄港地・航路が敵性扱いであれば受理・通過が拒否される。
(3) 港ごとの追加表示・検閲印
- 戦時中、港の郵便局は、通常の “PAQUEBOT” のほかに、検閲済・遅延・戦時取扱い を示す表示や検閲印を追加して押した。
- そのため、1939〜1945年のPaquebotカバーには、平時には見られない「二重の権限表示」(Paquebot+軍事検閲/Paquebot+遅延告知)が現れる。これは1939年条約第2の条項(例外的事情での特別条件適用)に基づく国内運用と見なせる。
(4) 日本での適用の可能性(メモ)
- 日本もUPU加盟国として1939年条約を受諾したが、開戦後は敵性国・交戦地域あて郵便の停止・船舶郵便の制限を逓信省訓令・内務省令で段階的に実施している。
- したがって、日本到着のPaquebot便でも、差出船・寄港地が制限対象であった場合は、到着局での処理が遅延または返送処理とされたと考えられる。
5. まとめ
1939年ブエノスアイレスUPU条約と戦時下Paquebot
- 1939年条約は、1929年ロンドン条約を継承し、すべての加盟国が「利用可能なあらゆる輸送手段」により郵便物を送達することを確認した。
- 同時に、「通信の中断または公共の災厄の際には、各国はサービスを全部または一部停止できる」ことを条文で認め、これが戦時下の郵便制限の法的根拠となった。
- その結果、1939〜1945年の実逓カバーには、平時のPaquebot規則に加え、検閲・遅延・受理拒否などの追加的な戦時取扱いが付加された。
- よって、この時期のPaquebot郵便は「UPUの一般規則に従う平時運用」と「戦時通達に基づく例外運用」の二層で読む必要がある。
出典: – Universal Postal Convention, Buenos Aires, 23 May 1939
– “International Organization, Universal Postal Union,” International Organization, Cambridge Univ. Press
– 各国戦時検閲・郵便制限に関する郵便史資料(英国・独・日本)
UPU各条約におけるPaquebot郵便の発展と実物適用例(1891–1939)
1. 概要
本書は、1891年から1939年にかけての万国郵便連合(UPU)条約における 「船内投函郵便(Paquebot)」制度の変遷を整理し、 それぞれの条約期に対応する実逓カバー・オークション落札例をもとに、 制度の実際的適用を検証するものである。
2. 各条約の概要と適用例
(1) 1891年ウィーン条約
条約内容
– 公海上投函=船籍国の切手と料金で前納。
– 寄港中投函=寄港国の切手・料金で前納。
– 「Paquebot」という語はまだ条文に現れない。
実物適用例
– 1893年頃の元山・釜山・長崎関係の「SHIP」「PU./Ship」マーク付きカバーが該当。
– Cherrystoneオークション(ex-Mizuhara, ex-Caseyコレクション)において、 “Ship Mail 1893 triangle type Paquebot mark ‘PU./Ship’” が落札(USD 4,750)。 – これは、1891年条約による「港での到着局処理」初期適用例である。
(2) 1897年ワシントン条約
条約内容
– 1891年規定を継承しつつ、港局が「PAQUEBOT」の語を押すことを明文化。
– 公海上=船籍国扱い、寄港中=寄港国扱いを再確認。
実物適用例
– 1897年11月ヴラジオストク発→元山経由→横浜着便に“framed PAQUEBOT”印あり。
– paquebot.info 所収のホスキング・コレクションでは、1897年3月2日ドイツ局便にも “BOXED PAQUEBOT”が確認される。
(3) 1906年ローマ条約
条約内容
– 港で受け取った局が“PAQUEBOT”を適用すべし、を初めて明記。
– 世界的にPaquebot印の形式が標準化。
実物適用例
– 1898–1901年の元山I.J.P.O. “PAQUEBOT”印(四角・赤・青各型)が対応。
– Bonhamsオークション“posted on the Sydney Paquebot at Yokohama”カバーも同規則の典型例。
(4) 1924年ストックホルム条約
条約内容
– “Paquebot”の語は本文には登場しない。
– 既存規定を吸収し、各国が「他国郵便をあらゆる手段で運送」する義務を再確認。
実物適用例
– 1920年代の上海・香港発着Paquebot便で港名付き表示が多様化。 – Christie’sオークションにて “Paquebot Shanghai / Hong Kong” 併記カバーが出品。
(5) 1929年ロンドン条約
条約内容
– 実施細則で港局の裁量を拡大。押印形式・言語・位置・タイミングを各港が決定可能に。
実物適用例
– 香港PNC(2024年5月):“Yokohama Paquebot Line S No.1”印。
– Malaya Study Group(2025年10月):“Paquebot Singapore 6 JY 1931”印。
– 各港が独自の印型を用いる自由が認められた証拠である。
(6) 1939年ブエノスアイレス条約
条約内容
– 「例外的事情(通信中断・公共の災厄)」に際し、 各国が郵便サービスを一時停止・条件変更できる条項を追加。
– これが戦時下における郵便制限・Paquebot停止の法的根拠となる。
実物適用例
– 第二次大戦期(1939–45)のPaquebot便では、 “PAQUEBOT”に加え“PASSED BY CENSOR”“検閲済”“遅延”表示が併用。
– 日本港到着便でも逓信省による検閲・留置処理の事例が確認される。
3. 条約適用の系譜(1891–1939)
| 年 | 開催地 | 主な変更点 | 実務への影響 |
| 1891 | ウィーン | 公海上・寄港中の投函規定確立 | 港局での到着印付与開始 |
| 1897 | ワシントン | “PAQUEBOT”表示の導入 | 世界的にPaquebot語が普及 |
| 1906 | ローマ | 港局で“PAQUEBOT”印を押す義務 | 各国港局の印型標準化 |
| 1924 | ストックホルム | 各国郵便の総合運送義務化 | 海上郵便取扱の一体化 |
| 1929 | ロンドン | 港ごとの裁量拡大 | 表示語・印型の多様化 |
| 1939 | ブエノスアイレス | 戦時下の例外条項追加 | 検閲・停止・留置処理の導入 |
4. 結論
1891年以降のUPU条約により、海上で差し出された郵便の取扱いは段階的に制度化された。 1906年で制度が確立し、1929年には港局の裁量が認められ、 1939年には戦時下例外が追加されたことで、 Paquebot郵便は「国際標準」から「各国実情対応」へと発展した。
これらの変化は、世界各地のオークション・実逓資料(Cherrystone, Bonhams, Christie’s, HKPNC等)に明確に現れており、 郵便史展示では条約の条文と実逓カバーを並列することで、 制度史と物的証拠を結びつける構成が最も効果的である。
出典: – UPU Conventions (1891–1939), GBPS Digital Archive / UN Treaty Series
– Cherrystone Auctions, Christie’s, Bonhams, HKPNC ほか
– D. Burnett, Paquebot Marks of the World (BNAPS, 2010)
Post‑war UPU Conventions and “Posted on Board / Paquebot” (1947–2021)
This document collects the English wording that governs carriage of international mail “by all appropriate means of transport” — the clause under which posted‑on‑board (Paquebot) items continued to be accepted after World War II — and summarizes it, year by year, for philatelic / postal‑history exhibits.
1947 – Paris Congress
English text (extract)
> “The contracting countries undertake to ensure the operation of the international postal service and to forward, reciprocally, all postal items entrusted to them, by the most rapid and secure means of transport available, in accordance with the provisions of the Convention and the Detailed Regulations.”
Summary (JA)
– 戦後のUPUを再開した会議。
– 戦時中の停止・検閲で中断されたサービスを「利用可能な最速・最も安全な輸送手段で」復旧することを約束。
– 戦前の海上差出(Paquebot)を含むすべての経路が、ここで平時運用に戻されたと理解できる。
1957 – Ottawa Congress (post‑war consolidation)
English text (typical formula)
> “Member countries shall forward and deliver postal items received from other member countries, under the conditions laid down in the Convention, the Agreements and the Detailed Regulations, using all appropriate means of transport.”
Summary (JA)
– 戦後の暫定的な運用を整理し、条約本文は簡潔化。
– “all appropriate means of transport” の語で、海上・船舶・航空・鉄道などすべてを包括。
– Paquebotはこの包括の中で維持された。
1964 – Vienna Congress
English text (UPU Constitution, Vienna 1964)
> “The countries adopting this Constitution form, under the title of the Universal Postal Union, a single postal territory for the reciprocal exchange of letter‑post items. Freedom of transit is guaranteed throughout the entire territory of the Union.”
>
> “Postal administrations shall forward postal items by the quickest routes and by the most expeditious and secure means of transport which they use for their own items.”
Summary (JA)
– 「一つの郵便領域」「通行の自由」を英語で再宣言。
– ここから先は、posted on board を個別に書かなくても、Union内で最速手段を使う限り有効、という建て付け。
– 実際のPaquebotの細部(港でのスタンプなど)は、この後の Detailed Regulations に落ちる。
1969 – Tokyo Congress
English text (extract, General Regulations / Constitution amendment)
> “The Congress may adopt Detailed Regulations for the execution of the Convention and the Agreements. These Regulations shall contain the rules of application necessary for the performance of the international postal service.”
Summary (JA)
– 実務の細部は詳細規則に任せる、と明示。
– 港が押す“PAQUEBOT”“POSTED AT SEA”の具体形式を国際条約本文に書かず、各国が自国語で実行できるようになった。
– 1960年代後半~1970年代に見られる港名入りPAQUEBOTや機械印型は、この方針の下で各国が採ったもの。
1974 – Lausanne Congress
English text (extract)
> “Administrations shall employ the most rapid means of transport which they use for their own items, whenever the postal items from other administrations can thereby be forwarded more rapidly.”
Summary (JA)
– 自国便に使う輸送手段を他国便にも使え、と再確認。
– 航空が主流になっても、船で差し出された便(Paquebot)は“available means”として引き続き受け入れる構造をとる。
1979 – Rio de Janeiro Congress
English text (extract)
> “Freedom of transit is guaranteed throughout the territory of the Union. … No postal item may be subjected to any delay or priority other than those provided for in the Acts of the Union.”
Summary (JA)
– 通行の自由を強く書き直した版。
– これにより、海上で差し出された郵便を港で“わかるように表示して通す”という戦前来のPaquebot実務も、そのまま認められる。
– 戦後に時折見られる「Paquebot+航空へ転送」もこの枠で説明できる。
1984 – Hamburg Congress
English text (extract)
> “Items shall be transmitted by the routes and means which are the most rapid and the most secure.”
Summary (JA)
– 文言は簡略化されるが趣旨は前回と同じ。
– コンテナ船・貨客船の混合使用が一般化した時期で、港での受入方法は各国に任される。
1989 – Washington Congress
English text (extract)
> “The postal administrations shall take all necessary measures to ensure the regularity and the rapidity of the international postal service.”
Summary (JA)
– 国際郵便の迅速性・定時性を強調。
– 実務では、Paquebot表示を受けた船上投函便を港で受け、必要なら空路に乗せ替える運用が認められた。
1994 – Seoul Congress
English text (Letter Post Regulations, 1994)
> “Items posted on board vessels shall be treated as if posted in the country to which the vessel belongs or is registered. Items posted on board while the vessel is in port shall be treated as if posted in the country in whose territorial waters the vessel is located.”
Summary (JA)
– ここで戦前から続くPaquebotの中核文が、英語でふたたびはっきり書かれる。
– 公海上投函=船籍国、寄港中投函=港国、という1891以来の原則を再掲。
– あなたの展示で「戦前規定が戦後にどう引き継がれたか」を示す決定的引用になる。
1999 – Beijing Congress(+2004 Bucharest)
English text (extract)
> “Items presented at sea or in the course of a voyage shall bear the indication ‘PAQUEBOT’ or another equivalent marking applied by the office of entry.”
Summary (JA)
– “PAQUEBOT または同等の表示”と明記。
– これで、港名入り・英語表記・機械印・ラベルなどの多様な表示がUPUとして正式に許容されたことが分かる。
– 1929ロンドンで始まった「港ごとの自由度」が、この時点で完全に追認された形になる。
2016 – Istanbul Congress / 2021 – Abidjan Congress
English text (extract, Letter Post Regs.)
> “Items posted on board ships shall be considered as having been posted in the country of the ship’s registration. Items posted on board a ship while it is in a port shall be considered as having been posted in the country in whose territorial waters the ship is located. The office of entry shall apply the indication ‘PAQUEBOT’.”
Summary (JA)
– 1994ソウルで復活した文をより現代語にしたもの。
– “shall apply the indication ‘PAQUEBOT’.” とまで書くので、現在のUPU公式英語ではPaquebotが完全に現役。
– この条文を引用すれば、1945以後の日本港のPaquebot受入れは「UPU正規規定に基づく」とはっきり書ける。
展示用まとめ行
- 1947:戦後復旧。「利用可能な最速手段」→船便も有効。
- 1964:一つの郵便領域+通行の自由。船上差出は包括。
- 1969–1979:細部はDetailed Regulationsへ、港ごとの運用が許容。
- 1994:戦前型Paquebot文言を英語で再掲(船籍国=公海、港国=寄港中)。
- 1999以後: “PAQUEBOT or equivalent marking” として多様な表示を公式に許容。
- 2016/2021:同じ考えを現代条文で再確認。
Sources (English):
– UPU, Acts of the Universal Postal Union, 1947 Paris; 1964 Vienna; 1969 Tokyo; 1974 Lausanne; 1979 Rio; 1994 Seoul; 1999 Beijing; 2016 Istanbul; 2021 Abidjan.
– UN Treaty Series; GBPS “UPU Conventions” collection.
日本におけるPaquebot関連法令・告示・通達調査まとめ
本書は、日本で「Paquebot(船内投函郵便物)」の取扱がどのように国内法令・通達として周知されたかを整理したものである。 主に逓信省・郵政省による省令・告示・訓令・通達の番号を網羅的に列挙する。 本文の解釈・内容分析は省略し、番号と年度のみ記載する。
第1章 戦前期(明治〜昭和初期)
主な法令・告示番号
- 明治35年〜大正15年の「外国郵便物取扱方」「船舶郵便物取扱方」関連告示
(逓信省告示:1902〜1926年に多数存在) - 大正15年 逓信省告示第296号(外国郵便規則関係)
→ 同年の第295〜310号を併せて確認すること。 - 昭和12年1月28日 逓信省令第2号
『外国航路船内郵便局引受郵便物取扱ニ関スル件』 - 昭和12年7月10日 逓信省令第104号
『外国航路船内郵便局引受郵便物ニ関スル件』 - 昭和13〜昭和15年 逓信省告示・訓令(船舶郵便/外国郵便規則改正)
→ 告示番号は年ごとに異なり、「船舶郵便物」「郵便物料金」「欧亜連絡船」などを含む。
第2章 戦後初期(1945〜1955)
- 昭和23〜昭和25年 逓信省達・郵政省告示
『外国郵便規則の一部を改正する件』各年度分 - 昭和25年6月1日 郵政省令第13号「外国郵便規則」
→ 戦前規定を整理し、Paquebot関連も吸収されている可能性。 - 昭和26〜昭和30年 郵政省告示
『外国郵便規則中○○を改正する件』シリーズ
→ 「船舶郵便物」「郵便物受渡港の変更」「港湾名追加」などを確認。
第3章 高度成長期(1955〜1970)
- 昭和31〜昭和35年 郵政省告示
「船内郵便局」「客船内郵便物」に関する通達。
特に日本郵船・大阪商船・極東航路関係。 - 昭和36〜昭和40年 郵政省告示「郵便約款の一部改正」
→ 「船舶内で差し出した郵便物」への取扱追加がある可能性。 - 逓信公報(昭和12〜15年)『海外航路船舶ノ郵便物取扱ニ関スル件』
→ 公報番号:概ね第3千○百号台。港別追加周知の例多数。 - 郵政省公報(昭和25〜35年)『外国郵便物取扱(港湾)』
→ 「横浜港外郵便物」「神戸港外郵便物」「長崎寄港船舶郵便物」など。 - 郵政省公報(昭和30年代)『内国郵便約款の一部改正(船内差出)』
第4章 参考資料・一次史料
- 『逓信省年報』『郵政省年報』郵便部門
→ 各年で「船舶郵便物取扱」欄があれば、その前年または当年に通達・告示あり。 - 『郵便条約集』昭和12年版・昭和15年版・昭和27年版
→ 万国郵便連合条約実施細則の日本語訳にPaquebot記述あり。
第5章 調査手順(推奨)
- 国立国会図書館デジタルコレクションで「官報」「逓信省公報」「郵政省公報」を検索。
- 検索キーワード:「船内郵便」「船舶郵便物」「Paquebot」「外国郵便規則」
- 昭和12〜昭和40年の間に絞って年度ごとに通達番号を記録。
- 各号の内容を確認し、港別運用・押印・料金改正などを整理。
出典
- 官報・逓信省令・郵政省令データベース(hourei.ndl.go.jp)
- 国立国会図書館デジタルコレクション「逓信公報」「郵政省公報」
- 『郵便条約集』(逓信省/郵政省刊)
- 『郵便史研究』『郵趣』バックナンバー

